月賭博



 はじめ、月と太陽は一緒にいました。
 月と太陽は双子のようにおなじでした。


 月はかけごとが大好きでした。
 じぶんの明るさを賭けて、
 どんな些細なことでもかけごとのタネにしていました。
 しかし月はかけごとが好きなわりに弱く、
 いつもつきあってくれている太陽に負けてばかりいました。
 そして太陽にどんどん光を取られてしまった月は、あまりにも太陽が強すぎるので、夜に引越しをしました。


 そこでもこりずに夜空を相手にかけごとをします。
 夜空は太陽ほどかけごとには強くはなく、
 月は勝ったり負けたり。
 月は勝つと、夜空から星をとって光をふやします。
 負けると身をけずって夜空に星を飾ります。


 そしてそれは今も、まだ続いています。

【終】




Jun. 2000